プロジェクト期間中、カットオーバー後の費用は、いつのまにか膨張しがち。折に触れて確認しよう

プロジェクトを進めている最中は、なんとかプロジェクトを完了させることに忙殺されがちです。そのため、本番稼働後にかかる費用に関しては、忘れられがちです。

しかし、プロジェクトが大きくなってくると、それに連動して、本番稼働後にかかる費用も大きくなっていきます。つまり、追加予算は、プロジェクト期間中だけを考えていれば良いのではなく、本番稼働後も含めた長期に必要となってくるのです。今回は、見逃されがちな本番稼働後の費用の密かな増加に関して、お話します。


運用保守費用は、プロジェクト費用に連動する

一般的に、小さなプロジェクトが本番稼働すると、運用保守体制も小さいです。逆に、大きなプロジェクトの場合は、運用保守体制も大きいことが多いです。

大きいプロジェクトでは、難易度の高いプログラムをたくさん作ります。運用保守においては、そのたくさんの難しいプログラムを取り扱いますので、自然と必要となる体制も大きくなってきます。

さて、今回取り上げたい状況は、度重なる仕様変更や延伸などによって、もともとは小さいプロジェクトを想定していたところ、段々とプロジェクト規模が大きくなってきているケースです。

残念ながら、予算追加を繰り返して、当初想定規模の1.5倍や2倍になっているようなプロジェクトも珍しくありません。たいていの場合、プロジェクトを前に進めるのに精一杯で、本番稼働後の費用のことにまで気が回らないことが多いです。

しかし、必要となる本番稼働後の費用は、着実に大きくなっています。

費用が大きくなる要素は、仕様変更によるプログラムの増加・複雑化だけではありません。例えば、要件定義や設計で、課題検討に時間が掛かって、期間延伸になるようなケースがあると思います。

そのとき、期間は延びたものの、プログラムの規模は当初想定に収めた場合でも、色々な検討・調整に時間が掛かるという事実は、運用保守体制を考えるときに加味しなければなりません。運用保守においても、意思決定に時間が掛かる。そのための検討会や調整の工数がかかると予測されるのです。


忙しくても、運用保守費用を気にしておくことが大事

マネジメントの観点からは、結局トータルでどれくらいの費用がかかるのかが重要です。そのため、プロジェクト費用だけでなく、本番稼働後の費用についても、常に更新して、情報共有しておくことが必要です。

そして、そのことが、プロジェクト費用を低減していくことにもつながっていきます。

システム利用部門・地域にとっての費用

多くの大きなプロジェクトでは、費用管理・運用のしやすさもあり、本社のIT部門で、費用を一元管理することが多いかと思います。そのため、プロジェクト期間中は、業務メンバや業務側マネジメントは、プロジェクト費用に関して、意識する機会が少ない傾向があります。また、運用保守費用に関しても、本社のIT部門が、一元的にITパートナと交渉・契約することがほとんどです。

しかし、多くの場合、その費用は、システムの受益者である利用部門・地域に配賦されることになります。つまり、最終的には、プロジェクトの業務メンバ・業務側マネジメントが、費用を負担することになるのです。

配賦の基準や実際の金額は、運用保守が始まるまで、未確定のことが多いです。そのため、業務側が認識する機会が無いまま、プロジェクトが進行していくことになります。

業務側の理解を得ることのメリット

業務側が理解することには、膨張するプロジェクト費用への対策が打ちやすくなる効果があります。

仕様変更をたくさん申請することも、検討会に時間がかかることも、多くは、業務メンバに起因します。業務メンバは、少しでも良いシステムを作りたいという気持ちから、機能を何度も見直し、検討会にも時間をかけます。

一方で、プロジェクト費用に関しては、考慮に入っていないことが多いです。そのため、より良いものを作るために、費用がかかる方向に動きがちなのです。

しかし、将来、自分たちの費用になって返ってくることが分かっていれば、話は違います。やりたいことはあるけど、それが、自分にとって、マイナスになる要素があるのであれば、バランスを取ろうと動きます。

意外に、こういった大きな構図が理解されていないように思います。

費用負担の話は、デリケートです。出し方を間違うと、業務部門側の反発が大きくなります。下手をすると、プロジェクトを止めてしまうような動きになることがあります。そのため、費用を見積もるIT部門側も、話を切り出すのに大きな勇気が必要になります。

しかし、具体的な数字までは話せなくても、プロジェクト費用が大きくなると、結局、業務部門に返ってくるという事実については、理解して貰う必要があると考えます。


前述したように、本番稼働後の費用に関して、プロジェクト中に議論されることは少ないです。たいていは、プロジェクト開始の決裁を取る際に、イニシャルとランニングの費用を合わせて説明するときに、言及されるくらいではないでしょうか。

そのため、いつの間にか、本番稼働後の費用が膨らんでいることに気づけないことも多いです。しかし、この構図を理解することは、プロジェクト正常化に大きく寄与します。目の前のプロジェクトをなんとか前に進めることも重要ですが、一歩引いて、高い視点・大きな視野で物事を見ることは、色々な場面で重要です。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。ご意見・ご感想を頂けますと幸いです。

ITプロジェクト研究会