大規模プロジェクトが終わった後も、継続的に効果を生み出すための仕組みは、どう作れば良いか

大規模プロジェクトを通じて、大きな改革成果を得ようとする企業は多いですが、そう簡単ではありません。しかし、実は、大規模プロジェクトが終わったあとに、継続的に効果を生み出し続ける仕組みを作る方がもっと大変です。
今回は、「大規模プロジェクトのあと」について、取り上げたいと思います。
祭りのあと
プロジェクトは、期間限定ですし、節目節目で大きな会議やイベントもあります。また、良くも悪くも、トラブルやリカバリ活動もあり、一種の「お祭り」のような状態です。
そのおかげもあって、プロジェクト期間中は活気もありますし、改革の推進力も大きいです。しかし、プロジェクトの終了後は、まさに「祭りのあと」の状態で、急に物悲しい雰囲気になっていきます。
物悲しさの要因
- 目的の消失(燃え尽き後の空白)
- チームの解体による喪失感
- 緊張/興奮/非日常モードから日常モードへの転換
実は、この状態は、
「改革の機運」についても、同じ
です。プロジェクト規模が大きければ、大きいほど、終わった後の反動は大きく、改革の機運が一気にしぼんでしまうことがあります。
プロジェクトは期間限定であることの宿命
大きな要因は、プロジェクトは期間限定であるということにあります。
普段は通常モードで運転しているユーザ企業において、短期に成果を出すべきプロジェクトは、特殊な状態です。各部門に色々無理を言って人員を出して貰ったり、意思決定を早くするための特別な枠組みやルールを設けたりします。つまり、プロジェクト期間中は、
短期間で、大きな成果を上げるために無理をしている状態
なのです。そのため、長くは続けられません。ですので、プロジェクトが終わると、早々に通常モードに戻るのです。

そして、その際、
プロジェクト終了と同時に、改革に向けた枠組みも解消されてしまう
のです。つまり、継続的に効果を生み出し続けるためには、いかにして枠組みを構築・継続するのかが重要になってくるのです。

まずは、運用保守の仕事にPDCAサイクルを導入する
プロジェクト終了後に始まるのは、プロジェクトで構築したシステムの運用保守です。
運用保守の仕事の特性として、
仕事をミスなくやるためにも、与えられた予算を厳守するためにも、決められた内容から逸脱しない
ことが重要です。そのため、新しいこと(改善に向けた取り組み)に対しては、消極的になってしまう場合があります。
そこで、運用保守で取り扱う取り組みのなかに、予め小改善を織り込んでおくことが有用です。運用保守は基本的に年次サイクルで運営されますから、年間のPDCAを、年度の活動として織り込むのです。

実は、ここまでは、多くのユーザ企業で既に取り組まれていると思います。ユーザ企業によっては、継続改善の効果をより高めるために、ITパートナからコンサルタントを常時アサインしているケースもあると思います。
しかし、あくまで運用保守の枠組み下での取り組みになりますので、基本的には定常業務メインの体制ですので、代替的な効果を生み出すのには、限界があります。
次に、CoE(Center of Excellence)を定常組織として設置する
CoEという言葉は、最近では既に知っているひとも多いのではないでしょうか。
CoEとは
専門知識・スキル・ベストプラクティスを集約して、全社的な品質や効率を高める拠点やチーム
以前は、定型的な業務運用を集約して、定常業務の品質向上や効率化を目指すSSCに対して、継続的な改善を進めるための存在として、CoEがよく語られていました。

近年では、このCoEという考え方が、同じく定常業務を中心に扱う運用保守に対して、ITシステムの継続改善を担う存在しても、語られるようになってきています。

先ほどのPDCAの例で言うと、運用保守チームと一緒に、場合によっては、運用保守チームになり代わって、継続改善を進めていくのです。
その領域の専門家集団であり、改善をミッションにしていますので、生み出す効果はより大きくなります。また、定常組織として組み込まれていますので、活動も継続的なモノになります。

プロジェクトチームの機運を受け継ぐ
CoEが活動を始めるにあたって大事なことのひとつとして、プロジェクトで目指そうとしていた志や考え方を受け継いで、改革の連続性を維持することがあります。
そのために有効なのが、プロジェクト終了時に、プロジェクトチームを完全に解散させるのではなく、一部メンバをCoEとして継続的に配置することです。こうすることで、プロジェクト中の議論なども含めて、プロジェクト後の活動に引き継いでいくことができます。

より大きな効果を生み出していくためには、大きな計画が必要
CoEによる継続改善活動は非常に有効です。しかし、より大きな効果を創出しようと考えると、やはりプロジェクトとして大きな力を結集する必要があります。しかし、プロジェクトは大変です。立上げも大変ですし、同時並行で推進できるプロジェクトの数にも限界があります。
そのため、出来る限り、最大限のプロジェクトを効率よくやっていこうと思うと、計画が必要になるのです。
もちろん、計画は変更になる可能性もありますが、数年間の計画を立てて、どのようにユーザ企業として進化していくのか、どのように人材を集結させていくのかを長期スパンで考えていくことが重要です。
大きな効果を生み出すための3か年計画イメージ

プロジェクト規模が大きければ大きいほど、プロジェクト終了後の反動は大きく、改革が止まりがちです。しかし、改革を止めてしまうことは本意ではないはずです。
改革を止めないためには、改革そのものを定常組織や中長期計画に織り込んでしまうことが有用です。プロジェクト期間中は、非常に忙しく大変です。しかし、終わってしまった後に、パワーを再集結させることは困難です。大変でも、プロジェクト期間中に、次の手を考えておくことが欠かせません。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。ご意見・ご感想を頂けますと幸いです。
ITプロジェクト研究会



