システム導入効果を最大化するには、業務部門が主体的に“刈り取り”を行う必要がある

システム導入は、ビジネスや業務を効率化したり高度化したりするために行います。システム導入費用は安価ではありませんが、ビジネス効果や業務効果があると期待して、投資されているユーザ企業がほとんどだと思います。一方で、システム導入後に、十分な効果が出たと自信をもって言える企業は少ないのではないでしょうか。
多額のお金を掛けたこともあり、社外にも社内にも「期待したほどの効果は無かった」とは言えないという事情もあって、あいまいにしているユーザ企業も多いように見受けます。どうすれば、そういった状態を回避できるのか、うまく行っていない事例も含めて、お話します。
システム導入は“業務部門のための変革”であり、主体的な関与が不可欠
下記は、以前もお話した典型的なプロジェクトの目標(錦の御旗)です。新システムを導入すれば、良い結果になると思わせるものになっています。

ここで、改めてに皆さんに認識頂きたいことは、新システム導入で実現したいこと(To-Be)は、ビジネスや業務の高度化・効率化された姿ということです。つまり、当たり前ですが、システム導入は、ビジネスや業務を変えるために行うものなのです。

システム導入では、業務部門の参画がプロジェクト成功を左右する
そのため、業務部門としては、実現したいビジネス・業務を設計して、それが本当に可能になるのかを確認することが極めて重要になってきます。そこで、システム導入は、IT部門だけの仕事ではない、業務部門の関りが非常に大切であると、色々なところで言われています。
構想立案フェーズ:錦の御旗を実現するための施策を検討する

要件定義フェーズ・設計フェーズ:構想立案で考えた錦の御旗を実現するためのシステム実装を検討する

これ以外にも、チェンジマネジメント、トレーニング、ユーザ受入テスト(UAT)など、錦の御旗を確実に実現するために、業務部門の関りは多岐に及びます。

効果の“刈り取りフェーズ”では、システム導入以上に業務部門の行動が成果を決める
さて、ここから、システム導入後の効果刈り取りのお話です。効果刈り取りでは、システム導入フェーズ以上に、業務部門の取組みが重要になってきます。なぜなら、それこそがプロジェクトの目的であり、ビジネス・業務で実現したいことだからです。

システム構築完了までは、IT専門技術やプロジェクト運営ノウハウのため、IT部門が大きく関与しました。しかし、いったんシステムが出来上がった後は、いよいよ効果刈り取り。業務部門主体の活動に大きく舵を切っていきます。
導入効果の“刈り取り”は、売上拡大や新規顧客獲得など、日常の業務施策と同じ活動である
システム導入効果の刈り取りというと、ITの専門的な知識が必要で、業務部門の皆さんには難しいという先入観があるかもしれません。しかし、システムが完成してしまった後の取組みは、売上・利益の拡大施策、新規顧客開拓など、普段から業務部門が取り組んでいる施策推進と全く同じです。
目的を実現する施策を考えたら、活動を定量的に追って行くためにKPIを決めます。そのKPIを達成するための行動計画と立てつつ、部門全体の年度計画や目標に織り込んで、施策を進めていくと思います。効果刈り取りも、それと全く同じです。

また、効果刈り取りを効果的にかつ継続的に進めるために、よく組織的な枠組みにも手を加えますが、それも普段の業務部門の施策取組みと同じです。
- 組織的に推進するためにCoE(Center of Exellence)を設置する
- 継続的な改善を実現できるように、組織としての活動として定義する
- 新しい業務での効果を最大化するために、ユーザ定着とチェンジマネジメントを継続する 等
本来、ビジネスや業務を変える活動は、業務部門が主体的に行うべきものです。ITは、そのひとつの要素でしかありません。まずは、それを認識することが、大変重要です。
導入効果を刈り取れない原因 | 業務部門で起きがちな課題
普段やっていることと同じですから、システム導入効果の刈り取りも、本来は同じようにやれるべきです。もちろん、全社DXなどでは、全社の業務プロセスが大きく変わったりしますので、そんなに簡単でないこともあります。しかし、うまく行っていないときに起きていることは、もっと初歩的なことのように見受けられます。
効果刈り取りに苦戦している場合に起きていがちなこと
- システム導入はIT部門の仕事と考えて、業務部門マネジメントが積極的に関わってこなかった
- 改革テーマ(錦の御旗)を、業務部門マネジメントが自分事として捉えていない
- 改革テーマ(錦の御旗)に沿った形でシステム実装できているか、業務部門を含めた形で裏取りできていない
- プロジェクト中のチェンジマネジメント活動が、単なるシステム操作・活用レベルに留まってしまい、改革に向けたムーブメントにまで発展しない
- システム導入で燃え尽きてしまい、効果刈り取りへのエネルギーが不足してしまう
- IT部門がシステム導入に集中するあまり、業務部門に対して、効果刈り取りや費用配賦の議論を避けてきた
多くのケースで、業務部門が十分に巻き込まれていない、業務部門の主体性が足りないといったことが起きています。そして、そういったことが起きているときは、たいてい業務部門のマネジメントが、システム導入フェーズ段階から受け身な姿勢であることが多いです。
本来、自分たちの部門のための改革取組みですから、もっと積極的に関与・心配すべきだと思いますが、そうでない場面をよく見かけます。ユーザ企業の業務部門マネジメントの方々には、ぜひ考え方や姿勢を変えて頂きたいと考えています。
今回は、システム導入ではなく、システム導入後の効果刈り取りについてお話させて頂きました。システム導入中もシステム導入後も、業務部門・業務部門マネジメントの積極的な関りが不可避です。もっというと、業務部門・業務部門マネジメントがリードしていくらいでないとダメだと考えています。
今後のITプロジェクトの効果がより大きなものになっていくことを切に願っています。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。ご意見・ご感想を頂けますと幸いです。
ITプロジェクト研究会





