チェンジマネジメントの成否が、プロジェクト成果の大きさを決める

大規模プロジェクトを実施する際に、コンサルティング会社などからよく体制提案されるのが、チェンジマネジメントチームです。改革実現に向けて、様々な活動を行うチームですが、その重要性をクリアに理解している人は少ないように思います。そのため、トレーニングチームは編成するものの、チェンジマネジメントチームは設けていないプロジェクトも多いです。
必ずしも、チェンジマネジメントチームは無くても良いかと考えます。しかし、改革効果を大きく得ようとすると、チェンジマネジメントに関わるタスクは実施する必要があります。今回は、チェンジマネジメントで何をやるのかについて、お話します。
チェンジマネジメントが必要なとき
先ほどもお話したように、チェンジマネジメントチームは持たず、トレーニングチームだけを持っているケースが多いように見受けます。
確かに、変革の度合いが小さい場合は、業務プロセスの変更やオペレーションの変更だけに留まります。そのため、トレーニングにて、変更点や操作方法を学ぶだけで事足ります。

しかし、変革の度合いが大きくなってくると、トレーニングだけでは十分では無くなってきます。
例えば、改革の結果、自分のいる組織が統廃合されて、全く新しいビジネスをすることになった。というケースを思い浮かべてみましょう。
そんなときは、さすがに「新しいマニュアルを覚えてね。」だけでは納得できないでしょう。
「なぜ、そんな統廃合が必要になったのか」を知りたいでしょう。場合によっては、変化についていけなくて、心のカウンセリングが必要になったりするかもしれません。

つまり、大きな変革を行う場合は、トレーニングの枠組みだけでは足りなくなって、チェンジマネジメントの考え方必要になってくるのです。
逆に言うと、
チェンジマネジメントが必要になるほどでなければ、変革の度合いは大きくない
ということが言えると思います。

チェンジマネジメントとして実施すること
では、改革の度合いが大きい場合に、やるべきことは何でしょうか。
チェンジマネジメントチームの仕事
下記は、主要なタスク例です。パッと見た感じでも、通常のトレーニングチームが取り扱うものとは違うことが分かります。
| ステークフォルダー管理 | 影響を受ける関係者の特定と分析、関与戦略の策定 |
| コミュニケーション計画 | 誰に、何を、いつ、どの手段で伝えるかを計画・実行 |
| 影響分析 | システムやプロセスの変更が現場にどう影響するか評価 |
| チェンジネットワーク構築 | プロジェクトと業務の現場をつなぐ人材の育成・連携 |
| 抵抗管理 | 想定される抵抗の把握と対策の検討・実行 |
| トレーニング連携 | トレーニングチームと連携し、対象者やタイミングを調整 |
| 定着化支援 | 導入後も新しいやり方が根付くようにフォローアップ |
例えば、「抵抗」を想定して対処するというのは、典型的なタスクです。
大きな改革を実施する場合には、その方向性ややり方、影響について、異論や心配があるのが普通です。そのため、各所で色々な「抵抗」が起きます。
そういった抵抗にどう備えるのかが、チェンジマネジメントの仕事なのです。
ちなみに、関連するチームとの役割分担は、以下のようになります。

必ずしも、チームとして切り出す必要はありません。しかし、業務チームやトレーニングチームが通常担当する役割や仕事とは異なります。そのため、チェンジマネジメントのタスクが漏れないように、既存のチームにきちんと据え付けておくことが重要です。
フェーズごとに取り組むこと
また、チェンジマネジメントの役割は、プロジェクトの初期段階から必要になります。
以下は、フェーズごとに実施するタスク例です。業務チームやトレーニングチームと連携しながら、現場の人たちの心の準備や行動の変化を促すタスクを、それぞれのフェーズで実施していきます。
| 構想策定 | • ステークフォルダー分析 • チェンジ戦略・方針策定 • 現場の温度感ヒアリング 等 |
| 要件定義 | • 業務の変更影響分析 • コミュニケーション設計 • 構想に関する現場説明会 等 |
| 設計開発 | • FAQ・説明資料の作成 • 現場とのコミュニケーション開始 • トレーニング計画への協力 等 |
| テスト | • UAT参加者への説明 • テスト結果フィードバック取りまとめ • 本番直前説明会 等 |
| 導入/本番運用 | • 定着支援立上げ • 利用状況モニタリング • 継続的な改善提案 等 |
見て頂いて分かるように、現場の温度感を常に確認しながら、説明とコミュニケーションを進めていくことが、主要な活動となります。
チェンジマネジメントの重要性
先にも話しましたが、変革の度合いの大きなプロジェクトでは、必ずと言って良いほど、各所で様々な抵抗が起きます。
そして、残念なことに、多くのプロジェクトが、抵抗する人達に大きく妥協していきます。結果として、改革は骨抜きになり、プロジェクト費用も大きく膨らみます。

そうしないためには、抵抗をなるべく小さくすることが重要です。
そして、その一番の方法は、丁寧にコミュニケーションすることです。そういう意味では、チェンジマネジメントの仕事は大変重要な役割を担っているのです。
「チェンジマネジメント」の意義について、今回はお話をしました。業務チームともトレーニングチームとも異なる役割を持つことを理解頂けたでしょうか。仕様変更が多発するということも含めて、大きなプロジェクトでは、様々な抵抗が発生します。抵抗にどのように対処するのかを専門的に考える役割が、チェンジマネジメントです。
そもそも、ITプロジェクトは、会社や組織に変革をもたらすために実施します。大きな変革を実現するためにも、業務やアプリを作っていく仕事と同じくらい、チェンジマネジメントは重要な仕事と言えます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。ご意見・ご感想を頂けますと幸いです。
ITプロジェクト研究会



