PMOは足で稼ぐ。適切な情報流通を実現するには工数がかかる

以前の回で、プロジェクト管理を定着化するためにも、マネジメントに向けて見える化を促進するためにも、PMOが非常に重要であることを説明しました。
今回は、PMOがどのように多くの関係者とコミュニケーションするのかについて、お話したいと思います。
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プロジェクトに関わっている人数は多い
下記の図は、典型的なERP導入の体制図です。チームがたくさんあり、たいていは数十人規模。多ければ、数百人規模のプロジェクトになります。
また、各チームは、ユーザ企業からのメンバ、ITパートナからのメンバの混成になっています。さらに、プロジェクトという特性上、様々な部門から集められており、それぞれのバックグラウンドも色々であることが多いです。

そういった人達をひとつに束ねなければなりませんが、工数の制約上、プロジェクトリーダが全員と密にコミュニケーションする訳にはいきません。そこで、PMOが重要な役割を果たすのです。
ユーザ企業は、プロジェクト型のコミュニケーションが苦手
PMOの動き方を説明する前に、もう一点お話しておきたいことがあります。
それは、ユーザ企業は「プロジェクト型のコミュニケーションが苦手」ということ。
ユーザ企業の平常時では、営業部は営業部のなかだけ、購買部は購買部のなかだけでしか会話しないことが多いです。また、部長や役員に話をするというのは、大変敷居が高く、忖度も働きやすいです。
一方で、プロジェクトでは、部門の壁を飛び越えなければいけませんし、毎週の全体進捗会議では、部長・役員レベルの人達に報告・相談をしなければなりません。
残念ながら、ユーザ企業側のメンバは、この辺のコミュニケーションを変えることが上手ではありません。現場の状況がマネジメントに伝わらないことが多いですし、マネジメントの意向も現場に伝わらない場面も頻繁に見かけます。

そこで、多くのプロジェクトで頼りにされているのが、ITパートナ側のコミュニケーションです。
ITパートナは、プロジェクトをするのが本業ですので、プロジェクト型のコミュニケーションに慣れています。そのため、多くのプロジェクトでは、まずはITパートナ内で情報の集約化が行われます。その後、各階層で、カウンターとなるユーザ企業のメンバに状況共有されていきます。
では、ITパートナ内では、どのように情報の集約化が行われているのでしょうか。

PMOメンバは、足で稼いで情報収集している
どうやっているのか。実は、PMOメンバが地道に足で稼いで、情報を収集しています。
もちろん、定常的・定型的な活動として、進捗報告や課題報告により、まずは情報収集します。しかし、報告内容が十分でないこと、場合によっては、真実でないことがあります。
進捗報告・課題報告 ≠ プロジェクトの実態
チームリーダが忙しすぎて、報告書に十分な情報を載せられていないこともあります。大事になる前になんとか自分で解決しようとして、隠していることだってあります。
そのため、PMOメンバが現場メンバに直接ヒアリングを行い、裏取りをするのです。

プロジェクトの規模にもよりますが、たいていは、複数名のPMOメンバがいて、ゆるやかに役割分担しながら、現場ヒアリングを行います。
なお、このヒアリングの際に、マネジメントやプロジェクトリーダの意向を現場に伝えることもします。これにより、情報収集だけでなく、情報発信・流通の促進という役割も果たしているのです。
それが、結果として、プロジェクトの見える化やプロジェクト管理の定着化を促していきます。
PMOネットワーク
PMOは、更に大きなグローバルプロジェクトでも重要な役割を果たします。
日本企業は一般的にグローバルプロジェクトが苦手です。グローバルなガバナンスが機能せずに、大幅遅延・大幅予算超過となるプロジェクトが数多くあります。
- 海外現場の状況が、日本本社から見えない
- 日本本社の意向が、海外現場に伝わらない
そのため、グローバルプロジェクトにおいては、PMOの役割が更に重要になります。
日本本社の統括PMOと、各地域のRegional PMOが連携して、情報流通を図ります。加えて、ここでも、必要に応じて、日本本社の統括PMOが、現場に聞き取り調査を行います。「足で稼ぐ」ことが、ここでも重要になってきます。

グローバルプロジェクトには、他にも色々な重要ポイントがあります。これらに関しては、また別の回に取り上げたいと思います。
今回は、PMOがどういう風に動いているのかについて、少し深掘りしてお話しました。PMOは、ただ形式を整えるだけの人たちではありません。プロジェクトの情報流通を担保する非常に大事な存在です。
PMOの仕事は、これ以外にもあります。プロジェクトの全体計画見直しや、予算の大幅超過時の対応など、プロジェクトの命運を握る仕事がたくさんあります。このあたりも、また別の機会に取り上げたいと考えています。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。ご意見・ご感想を頂けますと幸いです。
ITプロジェクト研究会




