プロジェクトチームが十分に機能するようになるまでに、数か月かかることもある

DXの高まりで、色々なところでプロジェクトが立ち上がっています。そのため、ますます大変になってきているのが、プロジェクトチームのために人材を獲得することです。また、獲得できたとしても、チームとして機能するまでに、数か月から1年くらいかかることも珍しくありません。
今回は、なぜチーム作りが大変なのか、その背景について説明していきます。また、その背景を理解しながら、どうやってチーム作りをしていくべきかについても、後段お話します。
プロジェクトへの人集めは、大変
チーム作りの大変さは、まず、人材獲得から始まります。この人材獲得の難しさは、ユーザ企業側にもITパートナ側にも起きています。立場や契約上の約束などがあるため、表立って報告されることは控えられることも多いですが、プロジェクトの問題は、この初期の人材不足に起因する部分も多いように考えます。
まずは、ユーザ企業側の事情から見て行きましょう。
ユーザ企業側でよく見かける光景
ユーザ企業側で、人集めに苦労する大きな原因は、人材の提供元の部門にとって、プロジェクトは本業ではないことです。


プロジェクトからは、優秀な人材を出して欲しいと言われている。我が部門のホープと言えば、Aさんだ。
しかし、Aさんには、いま取り組んでいる大型営業案件を成功させて、キャリアを大きく飛躍させて貰いたい。その未来なら、自分も後押しして上げられる。
業務部門の部門長の方々にとって、ITプロジェクトがどういったものなのかの理解は、なかなか難しいところがあります。派遣される人材本人にとっても、自分が担当する部門全体にとっても、プロジェクトの優先順位は上げづらいところがあります。
結果として、プロジェクト側は、優秀な人材の獲得にかなり苦労することになります。
ITパートナ側でよく見かける光景
ITパートナ側で起きているのは、DXの高まりで、プロジェクトがたくさん立ち上がり過ぎて、ひとつひとつのプロジェクトに人材が行き渡らない状況です。実績があって、人気のITパートナであれば、なおさらです。

人材供給が追い付かない場合、ITパートナ側から案件を断ったりすることは、もちろんあります。
ただし、営業上、困っているお客様に対して提案しないということはなかなかできないため、人材供給に難があっても、プロジェクトを始めてしまうケースは多いです。もちろん、ITパートナには、提案レビューの仕組みがあって、人材供給可能かを審査するステップがあります。しかし、会社の成長が優先されることが多く、リスクは覚悟で前に進む判断となりがちなように思います。
結果として、ITパートナ側にも、プロジェクトに十分に人材を供給できないという状況が発生します。
チーム内は、最初はバラバラ
ユーザ企業側もITパートナ側も、人材供給に難がありますので、集まってきた人材も、完全に役割にヒットすることはなかなかありません。
スキル・経験レベルが、バラバラ

もちろん、人材を募集する際には、Role Description(役割説明)があって、求められるスキルや経験などが書かれてあります。しかし、ニーズに完全にマッチする人材を獲得できることは稀です。
そのため、でこぼこのスキル・経験を持った人材を束ねて、チームとして機能させていくことが必要になってきます。
バックグラウンドも、バラバラ
また、プロジェクトごとに取り組む内容が変わってきます。そのため、必要となるスキルや経験も、プロジェクトの都度変わってきます。
結果として、プロジェクトの開始段階では、初めて一緒に仕事をする仲間もたくさんいるというのが普通です。人材は、色々なところからかき集めてきますので、各人が持つバックグラウンドも様々です。つまり、価値観、進め方に関する常識などもばらばらです。

では、スキルや経験だけでなく、価値観や進め方に関する常識までバラバラな人たちを、どのようにチームとして機能させて行けばいいのでしょうか。

時間をかけるしかない
残念ながら、魔法はありません。地道に時間をかけて、方向性や考え方を浸透・定着化させていくしかありません。

しかし、大事なことは、
最初バラバラなのは、当然
と考えることです。
プロジェクトに配属された人材に対して、不平を言っていても、なにも改善しません。自分もプロジェクトメンバも、モチベーションが下がるだけです。
一方で、バラバラなのは当たり前のものと捉え、なぜバラバラなのかを理解して、アクションを考えられれば、状況を大きく変えていけます。

これまでの経験から、何を課題として報告すれば良いかの基準が、メンバ間で違うようだ。全体会議で、今一度、課題管理について説明しよう。

リーダ
プロジェクトに対するモチベーションも、バラツキがある様子。一度、カジュアルな座談会でも設けて、皆の意見を聞いていくようにしよう。
プロジェクトメンバには、それぞれ長い人生経験があり、違った価値観を持っています。そういった人達を束ねて、一枚岩にするのは簡単ではありません。
数か月、場合によっては、一年以上かかると思って、取り組むことが肝要です。
中期的に人材育成・配置を考える
このようにチーム作りには、時間が掛かります。一方で、プロジェクトも長期間に渡って取り組むものです。つまり、時間をかけて準備をすることができる、ということなのです。
プロジェクトでは、フェーズが移り変わるにつれて、実施するタスク内容が変わります。当然、求められる人材像も変わります。しかし、スキルや経験のある人材を、新しく獲得するのは難しいことが多いです。
そこで、プロジェクト内で育成するという観点が重要になってきます。

上記は、テストフェーズ以降に必要となる人材を、どのように確保するかのアイデアを示す図になります。業務チーム内で、人材を育てて、テスト事務局やトレーニング事務局へ輩出していくアプローチを取っています。
さらに、チームとして切り出すためには、リーダやサブリーダをどうするかという問題もあります。下記の表のように、個人名のリストを作って、プロジェクトマネージャやチームリーダが一緒に、中期で育成するプランを練っていくといったこともやります。

このように、人材獲得やチーム編成が難しい状況を与条件として捉えて、中期的に対処していく姿勢が大変重要です。昨今のプロジェクトマネージャの仕事の半分は、こういった人材に関するものだと言っても過言でありません。
人材が集まらないというのは、プロジェクトにとって大きな問題です。特に、プロジェクトの初期の構想フェーズや要件定義フェーズは、もっと大切な骨格を決める時期ですが、人材不足が解消していないケースは非常に多いです。そこでの積み残しや歪みが、プロジェクト後半に大きな負の遺産として持ち越されるといったことも、たくさん見かけます。
それゆえ、人材獲得は満足にできないことを前提に、チーム作りをどうするのか、必要なタスクにどのように向き合っていくのかを考える姿勢が極めて重要です。プロジェクトリーダが絶対目を背けてはいけない問題のひとつです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。ご意見・ご感想を頂けますと幸いです。
ITプロジェクト研究会



