データ品質問題の管理が難しいのは、なぜか | 他のアプリ領域と異なる進め方

業務・アプリに関しては、様々なノウハウが共有され、皆さんも色々な知見をお持ちかと思います。一方で、データ移行に関しては、いまひとつピンとこない方々も多いのではないでしょうか。しかし、データ移行、特にデータ品質は、多くのプロジェクトで問題になることが多いです。データ品質が、プロジェクトの延伸につながることも珍しくありません。
以前の回で、別の回で解説とさせて頂いていましたが、意外にリスクの大きいデータ品質について、今回は取り上げたいと思います。
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データ品質の管理が難しい理由
データ品質の管理が難しい理由には、いくつかの要因があります。
経験やノウハウを持っている人が、限定されている
以下は、典型的なERPプロジェクトの体制図です。見て分かる通り、業務・アプリのチームが最大です。また、どのプロジェクトでも、業務・アプリチームは大きいため、業務・アプリの経験者の数は多いです。そのため、色々な経験やノウハウが、多くの人に共有されています。
一方で、データ移行チームは、小さいです。また、データ移行ばかりをやっている人たちも少ないです。そのため、豊富な経験やノウハウを持っている人が限定されているという特性があります。

仕事の仕方が、業務・アプリチームとは異なる
データ移行は、仕事の仕方も違います。下記は、一般的なデータ移行に関するタスクですが、要件定義・設計開発・テストといった業務・アプリチームの仕事の進め方とは大きく異なります。
つまり、業務・アプリで培ったノウハウや経験とは異なるものが、データ移行では求められるのです。

データ準備や品質確認について、チーム外に依存しなければならない
データの準備や品質確認においても、業務・アプリチームとは異なります。業務・アプリチームは、基本的に自チームのなかで完結するタスクが多いです。しかし、データ移行チームは、データの準備/整備は、業務メンバに依頼します。また、データ品質の確認は、テストチームや業務・アプリチームに依頼します。
そのため、機動力をもって、タスクを進めることが難しいことが多いです。結果、品質確認についても、十分にはできない状況が発生しがちです。

品質のモニタの仕方も異なる
業務・アプリにおける品質確認の大きなイベントとして、テストがあります。テストにおいては、不具合の発生・解消が大きな指標になっています。週別の発生件数が少なくなってきたか、発生した不具合に対して、対応が完了したかをモニタするのが、一般的な品質モニタの方法です。
業務・アプリチームにおける品質管理イメージ

一方で、データ移行の品質モニタの仕方は違います。データ移行に関しては、移行すべきデータ件数が決まっていて、品質管理の対象が予め決まっています。
その母数を100%として、移行リハーサルごとに、合格品質となったデータの割合が100%に近づいているかをモニタしていくことになります。

このように、データ移行では、業務・アプリと、様々な点で異なっています。そして、この特性を正しく理解していないと、移行データの品質を管理・モニタしていくことはできません。

データ品質管理の肝は、母数管理
前述のように、移行データの品質管理で重要なのは、母数を把握して、100%になるように追っていくことです。
なお、ここでいう母数には、大きく2つあります。
- 母数❶ 移行すべきデータの種類の全量
- 母数❷ データ種ごとの移行すべきデータ件数の全量

大事なことは、その母数に対して、ギャップになっているデータについて、何が、なぜ足りていないのかを追っていくことです。

このギャップがゼロになり、すべてのタスクについて100%完了すれば良いということなので、やることはシンプルです。しかし、この構図を十分に理解できていないため、データ品質を上げることに苦労している、もっと言うと、どういう状態か分からなくなっているプロジェクトは多いように思います。
今回は、非常に重要なタスクなのに、意外に皆さんにノウハウ・経験が無いデータ移行に関して、取り上げました。まず、大事なことは、大多数が所属している業務・アプリチームとは、仕事の性格が異なることを理解することです。
データ移行に関しては、向き合うべき対象が決まっていますので、その意味で、やることはシンプルです。勘所が異なることが分かれば、自ずと、対応の仕方も理解できてきます。プロジェクトで大問題になりがちなデータ移行について、大過なく進められるようになることを期待しています。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。ご意見・ご感想を頂けますと幸いです。
ITプロジェクト研究会




