状況変化を継続モニタすると、その時々の断面情報だけでは見えないものが見えてくる

どんなプロジェクトでも、進捗確認会議は定期的に行っていると思います。しかし、それでも、問題を早期検知できずに、大変なトラブル対応を迫られるプロジェクトが少なからずあります。

今回は、状況変化を可視化する有効なツールとして、「折れ線グラフ」を例に、どうすれば状態遷移を見える化できるかについてお話します。


断面情報だけでは、見える化に限界がある

システムテスト実施時の不具合の発生と対応状況の報告を、例にとってみましょう。

断面情報は、端的で分かりやすい。

しかし、「この状況が良いのか悪いのかは、よく分からない」のが、実際のところ。

不具合なので、最終的には100%対応完了しなければなりません。でも、この時点では「80%できているから、良いってこと?」「いやいや、20%はできていないってことだから、やっぱりダメなんじゃないか?」など、断面情報を見ているだけだと、判断しかねます。

そこで、ひとつの方法として、「状況変化を見る」ことが役に立ちます。


以下に、3つのケースを上げてみます。いずれも、10週目断面の数値は同じですが、それに至る経緯・状況は大きく異なります。

[考察1] 6週目までは、発生に対して対応完了が追い付いていた。6週目以降は、対応完了のスピードが遅れている。不具合対応のスループットが落ちる要因が何か発生したようだ。

[考察2] 対応完了のスピードは変わっていないが、6週目以降、発生件数の伸び率が増えた。不具合が多く含まれている機能のテストが始まったのかもしれない。

[考察3] これまでずっと、発生に対して、対応完了が追いついたことがない。不具合対応のマンパワーが足りていないのかもしれない。至急、対策を打たないと、未完了の件数が積み上がって行ってしまう。

今回の3つのケースを見て頂いて分かるように、10週目断面では同じ数値でも、それに至る状況変化は様々です。

このように状況変化をモニタすると、断面情報だけでは得られない“気付き”が得られるようになります。状況を立体的にとらえるために、状況変化を追って行くことが重要です。


状況変化を追い続けていくと、将来を予測できるようになる

ケース1から3までの説明で、状態変化を継続モニタしていくと、”気づき”が得られるというお話をしました。ここからは、さらに”将来を予測”できるようになるというお話です。

[考察] 6週目に一度、発生累計と対応完了累計の差が大きくなりましたが、その後、発生の伸びが鈍化して、差が小さくなってきている。

[裏取り] 確かに、主要なシナリオはテスト完了している。

[予測] そうすると、発生件数は減り続けるだろうから、対応残も、もうすぐゼロになるだろう。

[考察] 6週目までは、発生スピードに、対応完了スピードが追いついていなかった。しかし、7週目以降は改善し、差が小さくなってきている。

[裏取り] 6週目に、不具合対応のための人員を追加したことの効果が出ているようだ。

[予測] そうすると、この調子で進めば、発生件数に対応完了件数が追いつきそうだ。

予測をするときは、考察で得た”気づき”に対して、必ず裏取りを行うことが重要です。

裏取りが無ければ、ただの思い込みだったり、場合によっては、勘違いだったりする可能性があります。必ず、裏付けを取ってから、予測に向かうことが大切です。


たいてい、どのプロジェクトにおいても、折れ線グラフをもとにした報告がされています。しかし、きちんとした考察、裏取り、今後の予測がなされていないように見えます。

いま一度、状態変化を継続モニタしていくことの重要性を理解して、プロジェクト運営に活かして頂ければ幸いです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。ご意見・ご感想を頂けますと幸いです。

ITプロジェクト研究会

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