状況変化を継続的モニタすると、将来の着地予想もできるようになる

プロジェクトでは、進捗通りに進まずに「いつになったら、テストが終わるんだろう...」「いったいどこまで、課題件数や不具合件数、コストが膨らむのだろう」と途方に暮れてしまうときがあります。
そういうときに有効なものも、状況変化の継続的モニタです。今回も「折れ線グラフ」を例に、どう予測・見通していくのかについてお話します。
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進捗が一定以上遅れたとき、リカバリできるのか / できないのかの判断は難しい
まずは、システムテストを題材に、シナリオ完了が予定よりも大きく遅れてきたという例を見ていきましょう。

[当初想定] 12週目がシステムテスト完了予定日。
10週目までに全シナリオ完了予定だが、そのあと、2週間の予備期間がある。

[7週目までの実績] じわじわと遅れてきており、20-30%の完了遅延となっている。
12週目までにシステムテストが終わりそうか、どうやって見極めれば良いでしょうか。
「7週に渡ってずっと遅れ続けている。12週目までに完了できないだろう」
「いやいや、多少の遅れは想定の範囲内。2週間のバッファがあるから、大丈夫だ」
こういったとき、意外に、感性や雰囲気で判断している人が多いように見受けます。問題事象を前にして、感情的に見たくない、早く解決したいという気持ちが強く働くことが原因のように思います。
だからこそ、過去の状況変化=傾向から、具体的な数字を置いてシミュレーションしてみることが非常に重要です。
過去の状態変化 = "傾向(トレンド)"をもとに、シミュレーションする

[着地予想] 7週目までの実績をもとに、傾向(=週当たりのシナリオ完了本数)を計算して、完了予定日をシミュレーションする。
シミュレーションの結果、2週間の予備期間を使い切って、16週目までかかると予想される。
実際のプロジェクトにおいては、仮定をもう少し詳しく置きますが、基本的な考え方は同じです。
大事なことは、何らかの仮定を数字として置いて、シミュレーションすることです。そして、過去の実績というのは、たいていの場合、非常に頼りになるインプットです。

大事なことは、シミュレーションだけに留めずに、その裏取りをすること
感性や雰囲気に流されず、数字をもってシミュレーションすることは非常に大事なことです。
しかし、あくまでシミュレーションですから、仮定の置き方が間違っているかもしれませんし、異常値を参考にしてしまっているかもしれません。
そのため、シミュレーションを裏付けする情報を確認していくことが大切です。

[確認例① そもそもシナリオの開始ができていないのか]
シナリオの開始実績を見てみると、予定通りできており、これが完了遅延の原因になっている訳ではなさそうだ。

[確認例② 不具合対応が遅れていて、シナリオが進まないのか]
不具合発生件数の伸びに対して、対応完了件数が全く追い付いていない。

[確認例③ シナリオ進行をブロックしている不具合はないか]
長期に渡って解消していない不具合があり、これが多くのシナリオを止めていそうだ。

[確認例④ 他にもテストを妨げている要因はないか]
不具合も大きな阻害要因だが、テスト機のパフォーマンスも大きな問題だ。
少し深掘りして見ると、テスト進捗を妨げている要因が複数があることが分かってきます。そして、これらの要素を加味して、シミュレーションを見直して、精度を高めていきます。
- 不具合対応スピードは、要員増強によって改善できるので、2週間後からは改善するはずだ
- 滞留している不具合が解消するまで1週間はかかるので、特定のシナリオはそれまで完了には至らない
- テスト機のパフォーマンスはすぐに改善できるので、明日からでも、週当たりの完了本数が増えるはずだ
実際には、まず現場の状況調査を先にしてから、シミュレーションを行う場合もありますが、大事なことは、なるべく根拠のあるシミュレーションを行うことです。
シミュレーションといっても、しょせんは机上の計算です。そのため、大きな要素が考慮されているかは非常に重要です。感性や感覚に振り回されないための数字ではありますが、感性や感覚とのギャップがある場合は、裏取りをしっかりしていき、そのギャップを埋めていく活動が大事です。
そして、それがプロジェクトを正しく運営していくことにつながっていきます。
進捗通りである、遅れているという話は比較的捉えやすいのですが、着地がどうなりそうかは、意外に感覚や雰囲気になっていることが多いです。
この着地予想を数字を用いて語れるようになることは、プロジェクトマネジメント上、非常に重要です。状況変化を継続モニタしていくと、過去実績から傾向が見えてきて、それをもとにシミュレーションができるようになりますので、ぜひ有効活用して頂ければと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。ご意見・ご感想を頂けますと幸いです。
ITプロジェクト研究会





