断面情報は、高い解像度での見える化に有効だが、加えて、状態変化を継続モニタできるようにしたい

そのときどきの状況を詳細に把握しようと思うと、やはり断面情報を取って見てみるのが、分かりやすいです。そのため、プロジェクトの進捗資料でも、〇月〇日時点の断面情報が必ず報告されます。一方で、断面情報には限界があります。時間軸の表現が難しいことです。その時点の状態が、予定通りか予定通りでないかは分かりますが、状態が悪化してきているのか、改善してきているのかといったことは分かりません。

今回は、この断面情報の特性と、どうすれば時間軸を加味した整理ができるのかについてお話していきます。

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断面情報の優れたところは、状況を二次元で表現できること

以下のような表は、プロジェクトの進捗会議資料でも、よく見かけるのではないでしょうか。各チームの状況が一望することができるので、大変有効です。見やすさに応じて、縦軸と横軸を逆にすることも自由です。

要件定義を最終化するために完了させるべきものについて、チームごとのステータスを整理

縦軸:最終化のために完了させるべきもの

横軸:各業務アプリチーム

システムテストなどでは、不具合が大量発生してしまい、代替的な品質改善活動が進められることがあります。そういった場合には、以下のような表を作成して、状況を一望にすることがよくあります。

品質改善のために必要な取り組みについて、プログラムごとに状況を整理

縦軸:品質改善のために必要な取り組み

横軸:機能・プログラム

縦軸・横軸ともに、好きなように要素を増やしたり、階層を設けたりできますので、かなり詳細な情報を書き込むことができます。エクセルでA3サイズ数枚にもなるような報告資料を見かけることもあります。


断面情報に時間軸を加えていくと、状態変化がより詳細に見えてくる

前述したように、断面情報は解像度が高く、状況を詳しく理解するのに大変有効です。一方で、その時点その時点の状況しか分からないため、良くなってきているのか、悪化しているのかなどは把握しづらいです。

状態変化を捉えるには「折れ線グラフ」が大変使い勝手が良いのですが、断面情報は情報量が多いため、折れ線グラフを使うことは簡単ではありません。そこで、「表」の縦軸・横軸をうまく使って表現するようにします。

いくつか例を見ていきましょう。

縦軸・横軸のうち、機能を「受注伝票」に固定して、横軸を時間軸に変更

縦軸:品質改善のために必要な取り組み

こうやって断面情報に時間軸を足すと、状態変化がよく分かるようになります。この例では、品質改善活動の取組みについて完了となった箇所が徐々に広がってきていることが読み取れます。

システムテストにて発生した不具合原因の遷移に関する表

縦軸:不具合の原因

横軸:「時間軸」

不具合原因の内訳は、システムテストの進捗報告資料には必ず含まれています。しかし、円グラフなどの断面情報として報告されることが多いように見受けます。

上記のように、時間軸を足していくと、システムテストの進捗に応じて、徐々に不具合原因も変わってきていることが分かります。それにより、そのときそのときに適した対策が打てるようになります。

第1-2週:テスト初期に出がちなデータ不備や権限不備が多い

第3-4週:詳細設計や開発の不備、設計・コンフィグの不備が増えてきて、当初目的のプログラムの品質確認ができるようになってきた

第5-6週:徐々に基本設計や要件に関する不備が出始めた。対応の影響範囲が広い不具合であり、慎重な対応が必要となってきた

カットオーバーに向けて、本番稼働できる準備が整ってきているかを確認するための判定リスト

縦軸:本番稼働に向けた準備状況

横軸:「時間軸」

こちらも時間軸を加えることで、初期のころは赤色(問題があるもの)があったが、徐々に減っていき、緑色(問題ないもの)が増えてきたということが、視覚的にも分かりやすく表現できます。

状態変化は「折れ線グラフ」が一番表現しやすいのですが、「表」であっても工夫することで、状態変化を分かりやすく把握できるようになります。

縦軸・横軸を工夫して「時間軸」をうまく加えることが難しい場合でも、紙を見比べて、脳内で状況変化をつかむことができる

これまで、縦軸・横軸を工夫して「時間軸」をうまく加えられた例を見てきました。しかし、実際には、確認したい情報量が多すぎて、断面情報に時間軸を加えられないときがあります。

ただ、そんなときでも、状況変化をつかみにいくことは大切です。そこで、それぞれのタイミングの断面情報を並べて見比べるのです。そうしてみると、あるタイミングの断面だけを見ているだけでは分からなかったことが見えてきます。


プロジェクトの進捗報告において「すべて予定通りで、何も問題がない」ということはまれです。しかも、黄信号や赤信号がたくさんある状態が、長期に渡って継続することも多いです。

そういったときは、「断面情報だけでは、問題がことは分かるが、良くなっているのか、悪くなっているのか分からない」といったことが起きます。そんなときは、状況変化を把握するために、資料に「時間軸」を加えていくことが大変有効です。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。ご意見・ご感想を頂けますと幸いです。

ITプロジェクト研究会

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