グローバルプロジェクトにおいて、距離が遠いのはやはり不利

グローバルプロジェクトは、日本語が通じなかったり、品質に対する考え方が違っていたりと、国内プロジェクトと違った難しさがあります。

難しいプロジェクトであればあるほど、密なコミュニケーションが必要ですが、グローバルプロジェクトには、様々なチャレンジが有ります。今回は、グローバルプロジェクトにおける物理的な距離の問題を取り上げます。


最大の難敵のひとつが、距離

最近はオンラインを組み合わせた形も多くなってきましたが、国内プロジェクトでは、プロジェクトメンバがプロジェクトルームに集まってタスクを進めていくというのが多かったと思います。

東京本社と他府県の拠点との連携が必要な場合では、東京にプロジェクトルームを置きつつ、かなりの高頻度で他府県に出張して、対面での打合せをしています。

理由は、難しい議論であればあるほど、対面の方がうまく行きやすいからです。

しかし、グローバルプロジェクトの場合は、対面の機会を設けるのは、簡単ではありません。

以下は、世界の都市への日本からの直行便で行った場合に掛かる時間です。

見て分かるように、国内とは違って、かなり時間が掛かります。また、国際線は、かなりの高額です。

そうなると、国内プロジェクトのように、高頻度に出張するということはできません。

つまり、グローバルプロジェクトは、ただでさえ難易度が高いのに、対面でコミュニケーションする機会を取りづらいのです。


オンラインミーティングを設定するのも、簡単ではない

では、オンラインミーティングをすれば良いのかというと、それも簡単ではありません。

下記は、ある時期の各国の時間を表にしたものです。アジアは、時差が小さく、オンラインミーティングが持ちやすいです。しかし、北米や欧州は、時差が多すぎて、お互いの日中でオンラインミーティングを持てる時間帯は大変少ないです。

グローバルプロジェクトでは、グローバルテンプレートの検討のために、例えば、北米、欧州、アジア、日本で合同ミーティングを持つ必要があります。しかし、時差のために、どこかの地域が夜や早朝になってしまいます。

不規則な生活は、プロジェクトメンバに負担が大きいですし、長くは続けられません。

では、どうするか?


結局、出張が一番有効

将来は、テクノロジーの進歩で、離れていても、リアルで対面で会っているような技術が開発されるかもしれません。ただ、今はまだ無いため、結局、多くのプロジェクトで、出張する選択肢を採用しているように見えます。

しかし、航空チケットは高額なため、どう効率的に出張するかに工夫が必要になっています。

工夫例① 全員で、各国を順番に回っていく

グローバルテンプレートの検討のため、各地域の全員が参加しなければいけないケースでの例です。

普段は、オンライン会議で検討会を実施しますが、1か月に一度、代表者が集合(1週間程度)。負担が平準化されるように、月ごとに、集まる国を変えていきます。

工夫例② 常駐者(長期出張者)を置く

これは、グローバルテンプレートの検討が終わり、パイロット導入をアメリカで行うケースの例です。

日本本社からのガバナンスを効かせたいが、時差が大きすぎるため、高頻度にミーティングが持てません。そのため、現地に常駐者を配置して、彼らを介して、現地状況の把握、日本本社の意向を伝達を行います。

工夫③ コアチームの主要メンバが頻繁に出張する

これは、グローバルテンプレート検討時でも、それ以降でも、よく見られるケースです。

各地域のメンバは移動しない代わりに、コアチームの主要メンバが、各地域を回ります。このケースでは、コアチームが媒介となり、全地域の融和を図っていきます。主要メンバの負荷はかなり高くなりますが、情報が集約されるため、日本本社でコントロールしやすくなるというメリットもあります。


距離が離れると、疑心暗鬼になりやすい

以前の回で、同じユーザ企業の社員であっても、日本と海外では、品質に関する考え方が違う、というお話をしました。それ以外にも、そもそもプロジェクトの進め方、仕事の仕方が違ういうこともあります。

そこで、起こりやすいのが疑心暗鬼です。

たださえ、難易度の高いグローバルプロジェクトにおいて、距離が離れていて、他の国の状況がいまひとつよく見えない。オンラインミーティングでじっくり話し合うものの、本当にかみ合っているのか不安が起きてしまう。それが、グローバルプロジェクトだと思います。

それを解消するには、やはり対面で会うことが一番です。将来の技術進歩で、離れていても、対面と同じようにコミュニケーションできる日が来るかもしれませんが、今はまだそうではありません。

対面でのコミュニケーションをうまく織り交ぜて、グローバルプロジェクトを乗り切って行くしかありません。

離れていると、状況が全く見えなくなることもある

意外にあるのが、音信不通になる事態です。対面でつまかえることができない場合、「逃げられてしまう」ことを防ぐことができません。

  • 自分達の地域は、自分達で好きなように進めたい。報告とは違うことを勝手に進める
  • 責められたくないので、都合が悪いことは報告しない。虚偽の報告をする
  • 責められたくないので、理由を付けては、オンラインミーティングを欠席し続ける。音信不通になる

そのため、現地まで乗り込んでいって、担当者をつかまえるということが、現実的に必要となることもあります。


グローバルプロジェクトにおいては、仕事の仕方や考え方の違いも大きなチャレンジですが、単純に距離が遠いということも、非常に厄介です。

近年は、技術の進歩で、遠く離れていても、オンラインなどでコミュニケーションが取りやすくなっています。しかし、今のところ、対面でのコミュニケーションに勝るものはありません。疑心暗鬼が起きやすいグローバルプロジェクトだからこそ、対面での意思疎通をうまく織り込んでいくことが肝要です。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。ご意見・ご感想を頂けますと幸いです。

ITプロジェクト研究会

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