新入社員の成長速度は、あなどれない。プロジェクトの救世主になることもある

若手に期待して、若手が活躍できるようにすることが、どの業界でも成長の秘訣のひとつとされています。これは、ITプロジェクトにおいても、同じです。これまでの回でもお話してきたように、ITプロジェクトでは、常に人材難に直面します。DXの高まりもあり、昨今の人材難はより深刻です。
そんなとき、若手の活躍が救いになることが多いです。ITプロジェクトにおいて、どうして若手が活躍できるのか、その構造についてお話します。
ITパートナは、ITプロジェクトをするための組織体制になっている
ユーザ企業とITパートナとの大きな違いは、ITプロジェクトは、ITパートナの本業だが、ユーザ企業にとっては本業ではないということです。
そのため、ITパートナでは、「プロジェクトできる人材」を育て上げるということが人材育成の骨格になっています。結果といて、ITパートナでは、プロジェクト人材が育成されやすい環境になっています。
ユーザ企業とITパートナにおける、キャリア形成の違い

ITパートナにおけるキャリア形成は大変早い
ITパートナでは、新入社員からずっとプロジェクトに特化した経験を積んでいきます。そのため、プロジェクトに関する経験・スキルも、ユーザ企業に比べて非常に早く身につきます。
下記は、外資系コンサル会社でのキャリア形成の例ですが、非常に速いです。22歳で入社した場合、ストレートに昇進していけば、6年目の28歳でマネージャになります。マネージャになれば、ユーザ企業の課長や部長クラスと対峙して、丁々発止するようになります。ユーザ企業の課長クラスというと、たいてい40歳以上ですから、10歳以上も年上の人達と話すようになるのです。
外資系のコンサル会社やITパートナにおけるキャリア形成の速さ

以前の回でも取り上げましたが、ユーザ企業には、それほど頻繁に大型プロジェクトはありません。一方、ITパートナの社員にとっては、大規模プロジェクトの連続です。おのずと、ITプロジェクトの経験値が違ってきます。
25-26歳のときに一緒のプロジェクトだったユーザ企業とITパートナの若手が20年後に再会するまでのキャリア例

ただ、別の見方をすると、誰でも、適切な育成サポートのもと、ITプロジェクトに専念して時間を過ごせば、ユーザ企業での一般的なキャリア形成よりも、早く経験やスキルが身につくのです。
そして、これが、ITプロジェクトにおいて、若手に大いに期待できる理由でもあります。
チームのサブリーダができるようになるまでの期間は短い
前述のように、ITプロジェクトに専念して経験を積んでいけば、社会人3年目でサブリーダができる年次に入ってきます。もちろん、サブリーダと言っても、最初は比較的簡単な役割から開始します。しかし、1-2年経てば、難しい役割も担え、そろそろチームリーダ(マネージャ)を狙っていくほどになります。

つまり、入社2年目の若手社員がプロジェクトに投入された場合、1年後にはサブリーダができるようになるまでに成長できるということなのです。また、若手が10名ほどいれば、そのうち1-3名は非常に優秀な人材です。そうした人材は、チームリード(マネージャ)に迫るような劇的な成長を見せることがあります。
大規模プロジェクトの期間は、たいてい1年以上、長いものだと3年以上になるものもある
ユーザ企業の通常のキャリアでは、1-2年で役割が急激に大きくなるというのは、珍しいかもしれません。しかし、ITプロジェクトの正解では普通です。
しかも、大規模プロジェクトは、たいてい1-2年、長いものになると3年以上ですから、若手社員が次のステップに移るには十分な期間があるのです。
プロジェクト期間中に、若手社員の役割が大きくなっていくイメージ

プロジェクトの体制規模は、後半になればなるほど、大きくなる
プロジェクトチームを立ち上げるのは、いつも大変です。特にチームを引っ張っていけるチームリーダやサブリーダを確保するのに苦労します。
そして、プロジェクト規模は、要件定義 ➡ 設計開発 ➡ テストと進むにつれて、体制規模が大きくなっていきます。そのため、必要なチームリーダやサブリーダの数も多くなります。そういったことを踏まえて、
チームリーダやサブリーダに配置していくことを念頭に、若手を計画的に育成していく
ことが、大変有効な打ち手になります。


ユーザ企業の在籍期間が長ければ長いほど、旧来のやり方の打破が難しくなる
どの企業においても、在籍期間が長いことは武器です。仕事の仕方に熟知するとともに、社内人脈も広がり、ユーザ企業や所属業界内で仕事をするには大いに優位な要素です。
しかし、多くのITプロジェクトは、旧来のやり方を打破するために実施することが多いです。その場合、旧来のやり方に慣れ親しんでいるということは、プロジェクトの阻害要因になってしまうことがあります。

組織人の本能として、従来のやり方を踏襲しがちです。長い会社人生のなかで、そのやり方が正しいと教え込まれてきたからです。人によっては、そのやり方を若手や中堅に教える立場の人もいると思います。
そういった人達が、そのやり方を否定するのは困難です。自己否定になるからです。
一方で、若手は違います。
若手には、しがらみがない
在籍の長い社員と異なり、若手は、まだ企業文化を身につけようとしている段階です。そのため、行動原理を変えることが比較的容易です。
行動原理を変えるという点では、若ければ若いほど、有利
前述のように、ITプロジェクトにおいては、1-2年で大きく成長します。そこで、入社1年目や2年目の人材でも、1年後には、大きな戦力になっている可能性があるのです。経験はあるものの変わることに否定的な人材の1年後よりも、活躍している可能性は高いです。
そういう意味では、経験不足のため、最初は苦労するかもしれませんが、若手を思い切って登用する方が、長いプロジェクトにとっては、プラスに働くことが多いです。
若い世代には大きなポテンシャルがある
一般的な企業経営において、会社の革新が必要なときは、世代交代を行うことが多いです。前任者に比べて、経験値は劣るかもしれないが、若手が持つポテンシャルを重視するためです。
これは、ITプロジェクトにおいても、全く同じです。

他にも、若手を重用すべき理由があります。
ITプロジェクトは、会社の未来のために行われものだ
ということです。
「会社の未来のため」と言いつつ、経験値や職位の関係で、社歴の長い人達で推進されているプロジェクトは多いです。しかし、そういった人達は、プロジェクト終了後ほどなく引退されます。若い人達への置き土産という意味合いもあるとは思いますが、会社の未来は、未来を担う人が決めていくべきです。
そういった意味でも、若手の登用は重要だと考えます。
今回は、若手を積極的に登用すべきだというお話をしました。ユーザ企業の皆さんが考えているよりも、ITプロジェクト内での社員の成長は、早いです。
もちろん、適切な指導や仕事がなければ、早い成長は望めません。しかし、「早く成長させることができる」ということは覚えておいて頂きたいです。それを意識的に考えるだけで、会社における人材成長のスピードは大きく変わります。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。ご意見・ご感想を頂けますと幸いです。
ITプロジェクト研究会




